2009年4月18日土曜日

スターオーシャン1 ファーストディパーチャー

PSPのロールプレイングゲームです。もとはけっこう古いのかな。プライベートアクションという、仲間とのエピソードを楽しめる機能がついていて、とっても私好みです。ただ、全部の組み合わせを見るには4周しなければならないのがちょっと厳しい……飽きるのとどっちが早いかな。

私はほとんど推理系(?)アドベンチャーかロールプレイングしかやりません。それもけっこう偏っていて、「逆転裁判」シリーズと「ドラゴンクエスト」シリーズだけは全部やるみたいな感じ。小説でも波瀾万丈のストーリー(『高慢と偏見』も波瀾万丈だと思っているあたりその定義もいいかげんですが)を好むのと同様、ゲームでもレベル上げとかよりもおもしろいストーリーを楽しむのが一番の目的です。この前やっていた「英雄伝説・空の軌跡」シリーズはそういう意味で名作だったなあ。早く次がやりたいです。今やっているスターオーシャンは短い分複雑さはそこまでないようですが、でも十分満足感があります。
それにしても、我ながらロールプレイングのやり方はちょっと変わっていて、早々に攻略サイトを探しては、それをたよりにもれなくストーリーを追い、エンディング分岐などもできるだけ全部見ようとする方です。あんまり自分で謎をとこうという気分がありません。本来の楽しみ方とはちょっと異なる気がしますが、本人がそれで楽しんでるんだからまあほっといてやってくださいな。

2009年4月8日水曜日

横溝正史『髑髏検校』

推理小説ファンにもいろいろあります。本格推理(日本で言えば新本格も含め)が好きな人、サスペンス系が好きな人、コージーミステリ系が好きな人、といろいろあると思いますが、私は基本的には本格推理系です。中でも、探偵の登場するもの、かつ恋愛の要素のあるものが好き。極論すれば、クリスティとかディクスン・カーあたりってことになりますね。推理小説ファンと名乗りつつ、どうやら私は謎解きには二次的な興味しか持っていないようです。なによりも、好みの探偵が登場することがとても重要だったりします。
そんな私が日本の推理小説の中で一番好きなのは、やっぱり横溝正史。横溝作品の探偵と言えばもちろん、金田一耕助由利先生もけっこう好きですけど。金田一さんの登場する作品を本棚にずらーっ(50冊ぐらい)並べて、やる気のないときひまなときに読むのがほとんど癖になっています。中身をほとんど暗記しているぐらい読んでいても、もう1度読むとやっぱりおもしろい。なんだか、推理小説というより忠臣蔵でも楽しむみたいな感じになってます^^; 内容的にも、暗闇に紛れて行動する謎の怪人だの、ひたすら泣いてばっかりいる(か気絶しまくる)美女だの、「お約束」にあふれているし。いやあ、それがいいんですよ。

そんな横溝正史は、戦後に金田一耕助を登場させる前には伝奇小説捕物帖なども書いていました。そのひとつ、ブラム・ストーカー『ドラキュラ』を翻案したのがこの『髑髏検校』です。実は、なぜかまだ横溝の捕物帖や江戸物は読んだことがなかったんですよね。谷中の古本・古道具屋さん不思議で「あ、持ってない横溝ものだ」と思って何気なく買ったのですが、帰宅して読み始めたらすっかりはまってしまいました。我々の世代は明治大正のような美文が書けないさびしい世代なわけですが、まさか横溝正史がこんな流麗な文章を書くとは! たとえば、

悪夢より覚むれば、一瞬にして平和なる房州の春、障子にはかあーっと菜種いろの陽が色づいて、波の音も長閑である。

なんて調子です。いつもの横溝正史も名調子なときがありますが、これは見事。しかも、文豪の筆とは違って雰囲気だけでなく読みやすさもあって、とても魅力的な文体でした。内容も横溝お得意の怪奇物で「次はどうなるの?」とワクワクさせられて、これは見つけ物でした。本書には表題の「髑髏検校」ともう1作(こっちのが長い)「神変稲妻車」が入っています。「稲妻車」の方はオリジナルらしく、家宝の笛(これがまた時代物っぽくてうれしい)を軸に何人もの登場人物が入れ替わり立ち替わり登場する一種の道中物です。人の多さと関係の複雑さに頭がぐるぐるしつつもおもしろい、まさに浄瑠璃の世界を満喫してしまいました。これはそのまま歌舞伎にできるんじゃないだろうか。いやー、素直におもしろかった!

私の持っているのは講談社版ですが、同じ内容の物が今は角川と徳間から出ているようなので、そちらをリンクしておきます。
髑髏検校 (角川文庫)
髑髏検校 (徳間文庫)