2009年5月10日日曜日

イタリア映画祭の記憶

ちょうどよい機会なので、自分のメモ代わりにも、これまで見たイタリア映画祭上映作品および関連作品を簡単にまとめておきます。

2001
Tu ridi (Paolo e Vittorio Taviani) 笑う男/タヴィアーニ兄弟監督
Radiofreccia(Luciano Ligabue) ラジオフレッチャ/ルチアーノ・リガブーエ監督
La lingua del santo(Carlo Mazzacurati) 聖アントニオと盗人たち/カルロ・マッツァクラーティ監督
Sangue vivo(Edoardo Winspeare) 血の記憶/エドアルド・ウィンスピア監督
第1回。日本イタリア年で「イタリア旅行」というテーマで90年代の映画が並んだ。歌も超かっこいいおやじロック歌手リガブーエ監督の『ラジオフレッチャ』では(後でファンになった)ステファーノ・アッコルシはまだ垢抜けなくてそこがまたよい。『聖アントニオと盗人たち』はイタリア的超美形なのに頼りないファブリツィオ・ペンティヴォリオが最高。『血の記憶』でプーリア州の民俗音楽ピッツィカにはまる。

2002
Fuori dal mondo(Giuseppe Piccioni) もうひとつの世界/ジュゼッペ・ピッチョーニ監督
La via degli angeli(Pupi Avati) 真夏の夜のダンス/プーピ・アヴァーティ監督
La carbonara(Luigi Magni) ラ・カルボナーラ/ルイジ・マーニ監督
Santa Maradona(Marco Ponti) サンタ・マラドーナ/マルコ・ポンティ監督
第2回もテーマは「イタリア旅行」。『もうひとつの世界』でマルゲリータ・ブイを知る。すばらしい。1930年代のボローニャ近郊を舞台にした『真夏の夜のダンス』は山奥から年に1度のダンスパーティーに集まってくる人々の悲喜こもごもが自然に包まれている感じが好きだった。『サンタ・マラドーナ』は映画祭では見なかったが、S・アッコルシが出ているのがわかって後からDVDを購入。若々しい。

2003
Le fate ignoranti(Ferzan Ozpetek) 無邪気な妖精たち/フェルザン・オズペテク監督
L'ora di religione(Marco Bellocchio) 母の微笑/マルコ・ベロッキオ監督
L'imbalsamatore(Matteo Garrone) 剥製師/マッテオ・ガッローネ監督
A cavallo della tigre(Carlo Mazzacurati) 虎をめぐる冒険/カルロ・マッツァクラーティ監督
『無邪気な妖精たち』はゲイ役のS・アッコルシがありえないほど魅力的。出演作をほぼすべて集めたけど、やっぱりこれが最高。M・ブイも出てます。『母の微笑』は宗教というテーマがイタリアらしくベロッキオらしく、難しいけれどおもしろかった。『剥製師』は、好きになれないのに目が離せない感じの登場人物たちで不思議な気分。『虎をめぐる冒険』は『聖アントニオ…』ほどではなかったけど良質の悲喜劇。ペンテヴォーリオがやっぱりいい。

2004
Il cuore altrove(Pupi Avati) 心は彼方に/プーピ・アヴァーティ監督
Il miracolo(Edoardo Winspeare) トニオの奇跡/エドアルド・ウィンスピア監督
La finestra di fronte(Ferzan Ozzpetek)  向かいの窓/フェルザン・オズペテク監督
Un viaggio chiamato amore(Michele Placido) 愛という名の旅/ミケーレ・プラチド監督
Buongiorno, Notte(Marco Bellocchio) 夜よ、こんにちは/マルコ・ベロッキオ監督
『トニオの奇跡』はプーリアで奇跡を起こした少年をめぐる話で、工業都市ターラントと海の風景の対比がよかったけれど音楽が出てこないのがちょっと残念でした。『愛という名の旅』はS・アッコルシが出てるのですが、まあ普通…というか、アッコルシにはゲイ役かだめ男しかないのか? 『夜よ、こんにちは』はモーロ元首相誘拐殺人事件の赤い旅団を扱っています。すごく見たいと思いつつ、なぜかまだ未見。DVDが出ているので、今度見ようっと。

2005
L'amore ritrovato(Carlo Mazzacurati) 愛はふたたび/カルロ・マッツァクラーティ監督
Le conseguenze dell' amore(Paolo Sorrentino) 愛の果てへの旅/パオロ・ソレンティーノ監督
Prendimi (e portami via)(Tonino Zangardi) 私をここから連れ出して/トニーノ・ザンガルディ監督
Ballo a tre passi(Salvatore Mereu) スリー・ステップ・ダンス/サルバトーレ・メレウ監督
Gente di Roma(Ettore Scola) ローマの人々/エットレ・スコラ監督
『愛はふたたび』はS・アッコルシが出ているマッツクラーティ監督作品で本国でヒット……なのに、単なる優柔不断でわがままな男の不倫話で不満。『愛の果てへの旅』の舞台はスイス。謎めいたストーリーに衝撃的なラスト。イタリアっぽくないけど、引かれました。『私をここから連れ出して』は少年とロマの少女の交流が描かれていて、ロマにも興味のある私には色々勉強にもなった一作。『スリー・ステップ・ダンス』はちょっと幻想的で荒々しく美しい。サルディーニャにも行ってみたい(でも正直ちょっとこわい)。『ローマの人々』では、レストランで食事をしながら父親に老人ホームに入るよう説得する息子が妙に印象に残っています。

2006
Mater natura(Massimo Andrei) 母なる自然/マッシモ・アンドレイ監督
La seconda notte di nozze(Pupi Avati) 二度目の結婚/プーピ・アヴァーティ監督
La febbre(Alessandro D'Alatri) マリオの生きる道/アレッサンドロ・ダラートリ監督
Quando sei nato, non puoi piu nasconderti(Marco Tullio Giordana) 13歳の夏に僕は生まれた/マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ監督
『母なる自然』はナポリを舞台にしたトランスセクシュアルとゲイの映画。イタリア人の肉体の存在感ってやっぱりすごい。『二度目の結婚』のA・アルバネーゼは名演だった。クレモナが舞台の『マリオの生きる道』はおもしろい話でした。なんだか身につまされる。一般公開されてから見た『13歳の夏に……』は少年とルーマニア移民の兄妹のストーリー。移民問題の根の深さが感じ取られて考え込んでしまいました……正解はどこにもない……

2007
Il regista di matrimoni(Marco Bellocchio) 結婚演出家/マルコ・ベロッキオ監督
Nuovomondo(Emanuele Crialese)  新世界/エマヌエーレ・クリアレーゼ監督
L'amico di famiglia(Paolo Sorrentino) 家族の友人/パオロ・ソレンティーノ監督
Il caimano(Nanni Moretti) カイマーノ/ナンニ・モレッティ監督
Romanzo criminale(Michele Placido) 犯罪小説/ミケーレ・プラチド監督
L'orchestra di Piazza Vittorio(Agostino Ferrente) ヴィットリオ広場のオーケストラ/アゴスティーノ・フェッレンテ監督
この年は久しぶりに秀作ばかりで大満足。『新世界』はシチリアから米国に移住する一家の話。とてもおもしろい。その上、シャルロット・ゲンズブールがイギリス人役で出ている。『家族の友人』は主人公ジェレミアがいやなやつなのに見ていると同情してしまう不思議。初めてのモレッティ作品が『カイマーノ』なのはどうなのか。ベルルスコーニ映画のふりをした「映画の映画」でした。『犯罪小説』はイタリア版「仁義なき戦い」。S・アッコルシにはひげは似合わないと思う。実は今年になって見た『ヴィットリオ広場……』は移民オーケストラづくりのドキュメンタリー。

2008
Saturno contro(Ferzan Ozpetek) 対角に土星/フェルザン・オズペテク監督
La ragazza del lago(Andrea Molaioli) 湖のほとりで/アンドレア・モライヨーリ監督
『対角に土星』は久しぶりのオズペテク作品でした。それぞれが孤独をかかえた友のつながり……ものすごく「わかる」テーマで、とても気に入りました。M・ブイとS・アッコルシは夫婦で、やっぱりしっかりものの妻とダメ夫。『湖のほとりで』は北イタリアの緑につつまれた村で起こる殺人事件の話。派手な話ではないけれど、佳作だと思います。夏に一般公開予定。

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